酪農家の「悩み」から生まれた

バイオ消臭液

始まりは、お客様の苦情から

創業者の窪之内 覚は、北海道北見市の出身。
地元のホームセンター「ダイゼン」の店長でした。

ある日、お客様から「どの消臭剤を買っても臭いが消えない!」とのクレームが寄せられました。 土地の広い北海道では、犬を飼っている家がとても多く、道端にしたおしっこの臭いが地元民の悩みの種でした。よい消臭剤がないため、クレゾールなどの薬品を使用する人もいたそうです。

「大手メーカーの商品はみんな揃えてあるのに」と、窪之内は不思議な気持ちになりました。 代表的な商品を集めて試したところ、臭いは消えず…。これではお客様が怒るのも無理はありません。 それから窪之内の消臭剤探しが始まりました。 様々な展示会に足を運んでは、本当に効果のある消臭剤がないか探しました。 しかし2年間探し続けても、よい商品には巡り合えませんでした。

友人の酪農家から持ち込まれた液体

ある日、地元の酪農家の友人がボトルに入った茶色い液体を持ってお店に現れました。 「これをお店で売ってくれないか」とのこと。聞いてみると、「牛の尿を乳酸菌で分解した液」だというのです。

実は、酪農業が盛んな北見市では、牛の糞尿の処理が公害問題となっていました。悪臭に加え、土中に染み込んだ尿が付近を流れる常呂川に流れ込み汚染が広がっていたのです。常呂川は農業用水として利用される他、オホーツク海からサケやマスが遡上し、またその河口は日本有数のホタテの水揚げ場になっています。 そのため国と北海道、そして農協と酪農家が協力し、糞尿処理が進められていました。 しかし、その処理設備は酪農家自身も多額の費用負担を伴うものでした。 経営を圧迫しかねないとの心配から、処理済みの液体を販売できないかと、相談にやってきたのです。

もともと窪之内は農家の出身だったので、確かに園芸には使えそうだと思いました。しかし、冬の長い北海道では園芸時期がとても短く、大きな収益にはなりそうもありません。窪之内がその液体の臭いを嗅いでみると、驚くことにまったくの無臭。 「牛の尿の臭いがなぜ消えるのだろう?もしかすると他の臭いも消えるかもしれない」 そこで、園芸について一旦保留にし、空いているペットボトルに液体を小分けにしてスタッフみんなに配りました。 「消臭に効くか、みんなの家で試して欲しい」

その結果は目を見張るものでした。 ペットの糞尿や生ゴミ、排水口やトイレの悪臭まで、見事に臭いが消えたのです。理由は分からないけど、なぜか臭いは消える。 「公害の元だった牛の尿が、もしかして宝物になるかもしれない。酪農家の経営も助けられる。これはどうしても世に出したい」 ホームセンターのオーナーに相談したところ、「大手メーカーにない商品だから面白い」ということで、商品化の話が進むことになりました。

「よし、この商品の名前は“きえ〜る”だ!」

消臭効果の特徴

原液が有色であっため、このままでは色が染まる素材には使えません。そこで改良が加えられ、透明と有色液に分離する仕組みが考案されました。 そうして出来上がった透明な「きえ〜る」を様々なものに試していくうちに、一つの事実に気が付きます。それは有機物の腐敗臭やアンモニア臭などの不快な臭いにだけ反応し、その他の匂いは消さないということです。 例えば、花にかけても、花自身のいい香りは消えませんでした。

そこで、その効果と安全性について、日本赤十字北海道看護大学や北見工業大学、帯広畜産大学に検証を依頼しました。 ※「善玉活性水について」消臭試験参照

こうして1998年、悪臭を根本から断つ天然成分100%のバイオ消臭液「きえ〜る」が商品化されました。

さらに、研究を進めてみたところ、この液体には土の悪玉菌を抑え込み善玉菌を増加させる効果があることも分かりました。 当初の予想通り、土壌再生にも役立つことがわかり、園芸用の液体たい肥「土いきかえる」が商品化されました。

広がり続ける「きえ〜る」

「公害の元が公害を制す」というキャッチコピーがつけられた「きえ〜る」は、道内の新聞に掲載されました。 また、全国版の情報番組でも取り上げられるようになり、知名度を上げていきました。今まで付き合いのあった問屋さんが販売代理店として名乗りを挙げてくれたため、全国に販売することもできるようになりました。

シリーズも、洗濯用、置型タイプの消臭用の他、魚の水槽の悪臭・ぬめりの予防など、用途に応じたラインナップが増えていきました。中でも車用の「きえ〜る」は、その効果が認められ大手メーカーで採用されました。

2017年からは、北見工業大学との連携をより強化し品質の安定化を図りました。その後も研究開発に注力し、2020年から独自の品質基準をクリアした液を「善玉活性水」と命名いたしました。

また、環境に貢献したいという思いから、災害時には積極的な支援が行われています。 東日本大震災時には、日本赤十字社からの依頼を受けて「きえ〜る」を寄贈し、仮設トイレや排水、生ゴミの消臭に貢献しました。 熊本地震の被災地にも、いち早く「きえ〜る」を寄贈しています。

「きえ〜る」シリーズは、今では海外でも注目を集めるようになりました。 海外から視察団が来たり、相談を受けて世界各地に視察に行くこともしばしばです。

「公害だった牛の尿は、今では地球にやさしい液になりました。 我々のような小さなところでも、みんなで力を合わせれば、びっくりするようなことができるんです」と、窪之内は今日も笑顔をのぞかせます。

当ページの写真は、北海道北見市「食&観光」ガイド オフィシャルWEBサイト『おかわりきたみ』より一部引用しています。