弊社で取り組んでいるブランディングがスタートして2年が経過した2020年7月より始まりましたオンライン番組

「私のデザイン経営 強くて愛されるブランドをつくる人々 」

  

その第2回放送の番組内容をまとめた記事を公開いたしました。

お迎えしたゲストとの対談を読み物としても多くの方に楽しんでいただければと思います。

2020年9月23日(水)第2回ゲストは「堀田カーペット 堀田将矢さん」をお招きいたしました。

また、「過去動画を視聴したい」というお声を多くいただくことから、番組アーカイブを配信することにいたしました。

下記申し込みフォームからお申込みいただきますと後日視聴URLをご案内いたします。

▼番組アーカイブ視聴申し込みURL

https://forms.gle/hLjjRm51cimHrJy8A

動画も合わせてご覧いただくことで番組をさらに深くお楽しみいただけると思います。

  

2020年9月23日(水)第2回ゲストは「堀田カーペット 堀田将矢さん」をお招きいたしました

私のデザイン経営 2

強くて愛されるブランドをつくる人々

堀田カーペット 堀田将矢 様

青山:第二回は、堀田カーペットの堀田将矢さんをゲストにお迎えしています。

堀田:大阪の和泉市というところでカーペットの製造をしている堀田カーペットの三代目、堀田将矢と言います。よろしくお願いします。うちの会社は1962年創業で、今年で58年目になります。僕のおじいちゃんが作った会社なんですけど、2017年に僕が代表を引き継ぎました。

皆さん、カーペットを織るって表現されると思いますが、現在の日本で作られているカーペットの99%は実際には織られていなくて、刺繍なんです。そんななか、残りの1%である織物のカーペットを作っているのが僕らの会社です。良いものを作っているという自負はあるんですけど、住宅にカーペットが使われている面積って、全体の0.2%くらいしかないんですね。なので、ブランディングをしながらカーペットの面積をいかに増やしていくかということが僕の至上命題で、カーペットを広めていくための活動家でもある。自宅はキッチンや洗面所まで、すべて「カーペットの暮らし」をしています。

青山:キッチン周りもカーペットで大丈夫なんですか?

堀田:僕たちはウールを使って生産しているんですけど、ウールって羊の毛ですよね。そもそも羊は外に住んでいて、毛は雨に濡れても弾くようにできているので、皆さんが思っている以上に大丈夫なんですよ。カーペットは汚れたら落ちないとかダニがとかネガティヴなイメージを持たれやすいですが、大半は誤解で、とても気持ちが良い暮らしができる素材です。

青山:なるほど。では、堀田社長と窪之内社長が知り合ったきっかけを教えていただけますか?

窪之内:札幌のとあるイベントで、知人に新聞記者の内山さんという方をご紹介いただいて食事に行ったんですけど、ブランディングの話をしていたら「私の同級生の堀田に似ている」って言われたんですよ。本にも出たと言われて「中川さんの本じゃない?」「そうかも」ということで、内山さんがお互いを紹介してくれて、そこから堀田さんと連絡を取るようになりましたね。

青山:本にはどんなことが書かれていたんでしょう?

堀田:奈良の中川政七商店の前社長、中川淳さんが書かれた本で、実は2011年に中川さんにコンサルティングに入ってもらっていて、その時の出来事が書かれています。

青山:外部コンサルを入れようと思ったきっかけは?

堀田:僕が入社したのは2008年でその前はまったく違う会社にいたので、入社した時に親父や社員からいろんなことを聞いたんですけど、なんでこんなに良いものが売れないんだっていうのが最初の感覚だったんですよ。その時は漠然とブランディングしか生き残っていく道はないんじゃないかと勝手に思って、ブランディングにまつわる本を読むようになって、最終的に中川さんのところにお伺いしたという。だからなぜ頼んだかというと、藁にもすがる思いで、みたいな。

青山:窪之内社長も同じですね。

窪之内:良いものなのになぜ売れないっていうジレンマから始まりますよね。伝え方の整理が必要で、お店に行って商談してても伝えるのにとにかく時間がかかるし、なんでもっと売れないんだろうって悩んでました。

青山:ブランディングという行為は、堀田社長が思っていた通りでしたか?

堀田:とても難しい質問ですね。でも中川さんからは「ブランディングっていうのは伝えるべきことを整理して正しく伝えることだ」って教えてもらったので、今でもそれを意識しています。

窪之内:僕らが思っている以上に伝わってないから、他の人に協力してもらいながら整理していかないと無理だよね。

堀田:そうですね。いろんな方にいろんなことを聞いてもらってアウトプットしていくうちに、頭が整理されていくっていう。

鎌田:私が初めて窪之内社長からお話をいただいた時は、ぶっちゃけよくわからなかったです(笑)。消臭剤を作っている会社なのかなって。それは目に見えるものが『きえーる』で、ネットで調べても商品の説明しかなかったからなんですね。

鎌田:堀田社長に質問があって、お話を聞くと私が思っていたカーペットと堀田カーペットって実は違うんだなと思ったんですよ。それをしっかり伝えることに注力してこられて、それが売り上げに繋がっているんだと思うんですが、その秘密というか、苦労というか…。

堀田:苦労をしゃべるとあっという間に1時間が経ちそうなのですが(笑)。淳さんに入っていただいた当初、実は「ラグブランドを作りたい」ってお願いしたんですよ。ここでもうちょっとカーペットの説明をすると、ホテルみたいに床全体に敷き込むこととラグっていうのは、そもそも商品としてまったく違うんですね。ラグは家具屋さんとかでその場で買えるけど、敷き込みのカーペットは工務店さんにお願いしなきゃいけない。僕がそもそもやりたかったのは、敷き込みのカーペットの素晴らしさを伝えていくことだっていうのを淳さんにはお話していたんですけど、ラグブランドを作りたいと相談に行ったわけです。すると淳さんが「堀田さんがやろうとしていることはラグブランドじゃないよね。敷き込みのカーペットをどう伝えるかってことを考えていかなきゃいけないね」って言ってくれて、そこからプロジェクトがスタートしました。敷き込みのカーペットは何度も買うものではないですし、もしかしたら一生に一度しか買わないかもしれないようなものなので、その時にどう堀田カーペットを頭に残してもらうかってことを、今も一生懸命考えながらやっていますね。

鎌田:堀田カーペットさんのBtoCのブランドは?

堀田:『WOOLTILE(ウールタイル)』と『COURT(コート)』ですね。

鎌田:そのネーミングはどうお考えになったんですか?

堀田:『COURT』はブランディングを始めてから最初にちゃんと自分で立ち上げたブランドで、コートには「中庭」、集まる場所という意味があったので、この名前にしました。『WOOLTILE』は、ウール素材を使ったタイルがネット検索をしてもまったく出てこないんですよ。そういう意味でウールタイルという言葉そのものを世の中に伝えていきたいなということで、すぐ決まりましたね。

鎌田:『WOOLTILE』ってすごくわかりやすいですよね。聞いた人が自分自身で発見、理解できる、そういう直感に訴える良さがあるかなと思います。

青山:ではここで、質問が来ているのでご紹介しますね。「デザイン経営をする時に最初に考えるべきことは?」

堀田:淳さんに入っていただいたり、デザイナーの方々と仕事をするなかで意識していることは、ゴールと流通ってことですね。何をもって僕たちはこのプロジェクトを良しとするのか。あと流通について、誰に伝えるのかっていうことは僕たち経営者が考えなきゃいけない大きなポイントだと思っています。

窪之内:うちの場合はインナーブランディングから始めたんですよね。会長の代から働いてくれている人たちがほとんどだったんで、その人たちはこれから会社がどうなっていくかって不安じゃないですか。だからそこから始めようということで。でもこれって何が先で何が後かって話じゃなくて、思いを伝える順番と、コミュニケーションをどこにするかっていう覚悟を決めることが必要だったからなんです。社員にも『きえーる』のことをよくわかってない人がいたので、そこをまずわかってもらおうということは意識しました。絶対の順番じゃなくて、うちの場合はそうだったなって。

鎌田:環境大善さんの場合は、商品がもともと好調だったんですよね。そこでパッケージのデザインを変えたらもっと売れたかもしれないけど、もっと先を見てやれる会社だと思ったので、伝えたいことをしっかり伝えるっていうところから手をつけていったっていう。最初、環境大善さんって例えるならびっくりマーク2個くらいのイメージだったんですよ。それを、頭の良い研究者がおもしろいこと言うみたいな、上品なしゃべり方に変えることによって、商品の良さや地球環境を良くしたいっていう思いがうまく伝わるなと思ったんですよね。

堀田:僕の場合は、エンドユーザーにコミュニケーションを取ることを選んだんですよ。よく「BtoBが苦しくなったからBtoCの商品を作ったんでしょう」みたいに見られがちなんですけど、そういう感覚ではなくて、新しいプロダクトはBtoCコミュニケーションのために作ったブランドだと思っているんです。僕らの商品は、エンドユーザーが欲しいと言ってくれない限り、通常はフローリングになっちゃうんですよ。なので、自分が家を建てる時にはカーペットの暮らしをしたいと思ってもらえるよう、市場に訴えかけることを初めにやりましたっていう。

青山:「新築の家を建てるよ」とか、「マンションを購入するよ」っていう消費者に向けてってことですよね。

堀田:そうです。消費者の方がカーペットにしたいって言わない限りは、太素材の床材が99・8%というのが現状なので。

青山:堀田カーペットではオフィスの環境にも手を入れていますが、どういう狙いがありましたか? また、予算はどう決めましたか?

堀田:『COURT』を立ち上げてBtoCにコミュニケーションを取ったおかげで、Webへのアクセスがすごく増えるようになったんですけど、次は(本社へ)来てくださるお客様が増えることが予想されたので、お客様に僕らのカーペットの良さを感じていただこうということで、オフィス空間を整えました。そうすることで入ってもらった瞬間に気持ちが良いってことを感じていただけるんで。

青山:ではこれから目指すもの、方向性などを教えてください。

堀田:デザイン経営を取り入れることで何もかも変わったと言っても過言ではないくらい変わったと思っています。わかりやすい話だと、過去の僕らのWebサイトだと1年間に2、3件しかお問い合わせをいただけなかったんですけど、今はこの連休中に20件くらいお問い合わせをいただいていて、単純に年間で20倍くらいになったんです。そういうちょっとしたことから、僕の頭そのものがまったく変わったと思います。経営者として考えなきゃいけないことそのものを変えてくれたのが、一緒にやってきたクリエイターの方や淳さんだと思っているので。僕の場合は正直まだまだで、うちは”カーペットを日本の文化にする“ってことをビジョンに掲げているんですけど、新築住宅におけるカーペットの面積って0.2%しかないんですね。この0.2%が、僕が活動を始めてから変わったという感じはぜんぜんなかったりするんですよ。なので、道半ば感が半端じゃないというか(笑)。なので、やってきたことを地道にやり続けていかなきゃいけないし、もっとスピードを上げていかなきゃいけないと思っています。

鎌田:特にこの2020年って、ターニングになる年だと思ってまして。ホテルとかいっぱい建ったので五つ星ホテルをはじめたくさんお仕事をされたと思うんですけど、今後の展望をお聞きしたいなと。

堀田:おっしゃるとおりで、オリンピック需要というのは半端じゃないものがありました。去年はここ30年くらいで最高の売り上げになったんですけど、2020年は確実に悪くなるっていうのは東京オリンピックが決まった時くらいから思ってたんです。建築業界なんて建物が建たなかったら悪くなるのはわかってたので、『WOOLTILE』だったり『COURT』っていう別の軸を作るってことを一生懸命やってきたんですね。

鎌田:先手を打たれてたんですね。

堀田:ある意味、今年のためにやってきた活動だったっていうのもあります。次は織物のカーペットを指定して「この商品を使いたい」っていかに言っていただけるかってことをやっていかなきゃいけないなって。

窪之内:うちはやるべきことがはっきりした、会社の進むべき道のデザインをしたっていう感じがありますね。商品はいいけれど、中身がよくわからないっていうのは、よくない。そこを追求していくなかで、「研究開発型の会社」にならなきゃだめだっていうことにある時気づいたんですよね。でもそれって自社だけでは難しいので、北見工業大学と組んだり、民間の会社と共同研究しようとか、これって研究をデザインすることだと思うんです。そして最終的に善玉活性水をより良いものにしたい。これを使って、地球の環境を整えていきたい。これが僕らのミッションだと思っているので、次はそれを形にしていく。お客様の立場に立った時に何ができるかをやっていくのが、これからの時期なのかなと思っています。

ゲスト

堀田カーペット株式会社

代表取締役社長

堀田将矢

1978年生まれ。大阪府和泉市において、今や数少なくなった織物カーペットを製造している堀田カーペット株式会社の三代目。北海道大学経済学部卒。2016年にはウールラグブランド『COURT』を立ち上げ、2017年の2月には代表取締役社長に就任。自らカーペットの暮らしを体感し、啓蒙活動を続けている。

解説

KD

クリエイティブコンサルタント

アートディレクター

鎌田順也

1976年生まれ。デザインコンサルティングを行うKD主宰。理念作成からロゴマーク及びCI・VIデザイン、ネーミング、商品開発など多岐にわたって活動している。審査員として2025年大阪・関西万博 ロゴマーク、ロンドン D&AD パッケージ部門に招請。ニューヨークONE SHOW 金賞、JAGDA新人賞など、受賞歴多数。

主催

環境大善株式会社

代表取締役社長

窪之内誠

1976年生まれ。北海道・北見市にある環境大善株式会社の二代目。父の後継として、2019年の2月1日に事業承継を行った。会社の主な事業内容は、牛の尿を微生物で発酵・培養した『善玉活性水』から作る消臭液「きえーる」や、土壌改良用の「液体たい肥 土いきかえる」などの開発から製造、販売までを手がける。

進行

フリーアナウンサー

北海道観光大使

青山千景

18歳から現在まで、ラジオパーソナリティやテレビのグルメ・観光番組のレポーターとして幅広く活動している。2007年度ミスさっぽろ受賞、2017年には北海道認定 北海道観光大使、2020年に札幌観光大使に就任し、MC業のみならず、大学や企業向けマナー研修講師も年間100本ほど務める。

発行 環境大善

アートディレクション・デザイン 鎌田順也

編集・コピーライティング 佐藤のり子